『振り飛車穴熊の最終進化』(広瀬章人,2015)

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 将棋世界に連載されていた『僕の考える振り飛車のアイデア』はいつの間にか終了してしまいました。本書はおそらくそれを再構成したもの。にしては少し期待はずれだったかも。

 本書の良いところは、半分以上のページで振り飛車穴熊側が後手を持っているところでしょう。前著『振り飛車穴熊の急所』では基本的に振り飛車穴熊が先手の解説だったので、後手の時に困る場合がありました。その前著にもちょろっと書かれている、早めの△5四銀からの手順を解説しています。(そのことによって影響がある変化は少ないです)

 振り飛車穴熊党にとっては一応"買い"かと思うのですが、残念な点も多々あります。
 まず「この本だけにしか載ってない」という情報は少ないです。先手振り飛車編は『急所』で十分だし、後手振り飛車編も『急所』や『広瀬流四間飛車穴熊勝局集』と重複する手順が多くみられます。かといって振り飛車穴熊入門には『急所』の方が絶対によいです。
 
 また、ほんとにこれ互角なの?という疑問が湧く局面があります。これに関しては私の棋力がヘボですのであまり大きな声では言えませんが。
 あとこれは好き好きですが、定跡書によくみられる次の一手問題(終盤)も収録されていて、私はその分定跡の解説や自戦記に費やして欲しかったなあと思ってしまいます。

 今まで広瀬さんの棋書を追っかけて来た人が読むにしては内容が薄いかもしれません。

 イチャモンばっかり言いましたが、少し期待しすぎたようです。振り穴党は持っといて損はないかと思います。

 とにかく私は、また広瀬さんが振り穴を指して、異感覚で相手を負かすところを見たいです。

振り飛車穴熊の最終進化

振り飛車穴熊の最終進化

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