【感想】電王戦FINAL 第二局 永瀬拓矢 六段 vs Selene

先手:Selene
後手:永瀬拓矢 六段

▲2六歩 △3四歩 ▲4八銀 △8四歩 ▲7八金 △8五歩
▲2五歩 △3三角 ▲9六歩 △3二金 ▲6八銀 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛 ▲7六歩 △8八角
▲同 金 △2二銀 ▲4六歩 △4二玉 ▲4七銀 △6二銀
▲1六歩 △1四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲3六歩 △6三銀
▲6七銀 △5二金 ▲3七桂 △5四銀 ▲4八玉 △4四歩
▲2九飛 △3一玉 ▲7八金 △7四歩 ▲3八玉 △3三桂
▲5六歩 △2一玉 ▲4八金 △9四歩 ▲7七桂 △7三桂
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三銀 ▲2九飛 △2四歩
▲7五歩 △6三銀 ▲7四歩 △同 銀 ▲2五歩 △同 歩
▲同 桂 △同 桂 ▲同 飛 △2四歩 ▲2九飛 △8六歩
▲同 歩 △1五歩 ▲同 歩 △1七歩 ▲7五歩 △6三銀
▲5五桂 △1五香 ▲6三桂成 △同 金 ▲4一角 △1八歩成
▲8九飛 △6二金 ▲1四歩 △8一飛 ▲3二角成 △同 玉
▲1三歩成 △1六角 ▲2七歩 △同角不成
まで88手で先手の反則負け
―――――

 第二局も人間側の勝利となりました。これで人間側の2勝0敗で勝ち越しに詰めろをかけました。内容としては、Seleneが飛車先を切らせたり、右玉に構えたり、プロ間ではそんなに得とされていない形を選びましたが、あれよあれよと永瀬六段のほうが味の悪い形になってしまっていました。が、Seleneは端攻めを甘くみたようで、一瞬で寄ってしまったような印象でした。
 
 結果的にはSelene角の不成を認識できずに反則負けとなってしまいましたが、内容的には示唆の多い対局になったと思います。

 まず、飛車先の交換を形成の有利に結びつけるのは本当に難しいということ。こういう力戦系でソフトは抜群の力を発揮するということ(局後の記者会見でも永瀬六段が「この形では勝ったことがない」と言っていました)。ソフトの終盤にもミスが有る、読みにくい局面があるということ。開発にバグは付き物だということ。

 今回でこの形式の電王戦は最後となりますが、1局目2局目と色々と波乱を呼んでおります。次は第三局 稲葉陽七段 vs やねうら王の対局です。前回やらかしているやねうらおさんの登場ですがまた波乱は起こるのでしょうか。

佐々木勇気五段の本音

 現地解説をしていた佐々木五段がニコ生の中継の時にわりとぶっちゃけていたので書き起こします。原文ママではないですし、しゃべりはニュアンスがあるので、是非ニコ生のタイムシフトでご確認ください。4時間42分経過頃から)

「今は、どうなんですか、一昔はコンピュータが人間に勝つとニュースになってたじゃないですか。それがなんか今は人間がコンピュータにかったらおーって。そういう感じになって。そこなんとか変えたいですね」


「自信がないからでてないんです。いや極端な話勝てると思えば皆でると思うんですね。これだけ注目される舞台ですから」


「自分の考えだと、コンピュータ対策ができるなら、羽生先生や渡辺先生森内先生含めトップ棋士の対策ができるんじゃないかと考えたんです」


「それはなんかカッコよく言ってるだけで、本音では負けると思ってるわけですよ。だから逃げてるわけですね」


「いや負けるとは思ってないんですけど、戦うのが怖いって思う。それも勝負師としてはよくない」


「同世代を含めた斉藤さんとか永瀬さん戦ってるんで、自分は応援ってわけじゃないですけど、自分よりは1枚も2枚も上行ってる方なんで、がんばらないとだめですね」

 正直びっくりしたというか感動したというか。大部分の棋士がこういう感想は持っていると推測できます。佐々木五段はまだ若いですし、これから将棋界はどうなっていくのだろう、という不安も大きいでしょう。
 これからコンピュータがプロ棋士より完全に上に立つ時がくるとするなら、そのとき将棋界はどうなるのでしょうか。

永瀬流 負けない将棋 (マイナビ将棋BOOKS)

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