【第37回JT杯】佐藤康光九段が「大野流向かい飛車」で森内九段に勝利

 早指しとはいえA級棋士同士の対局で大野流向かい飛車が見られるとは思いませんでした。指したのは佐藤康光九段。期待を裏切りません。
 
 大野流向かい飛車とは▲7六歩△3四歩▲5六歩!△8八角成▲同 飛△5七角▲6八銀△2四角成と馬を作らせて指す大らかな戦法です。

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 馬は作らせますが先手は都合4手得ぐらいします。先手の手得+持ち駒の角 vs 後手の馬という戦いです。こう書くと難しそうですが手元のデータベースでは先手勝率は4割ほど。やはり自陣の馬は大きいようです。今回の対局も佐藤九段の豪腕で押し切った感じでしょうか。

 とはいえこういう戦法がプロの公式戦で現れると、「おっ」となりますね。

ちなみに

 「大野流」の大野とは故・大野源一九段のことで、振り飛車党の元祖」であります。その軽快な指し回しは久保利明九段に大きな影響を与えたと言われています。この方の棋譜は今並べても楽しいですので振り飛車党の方はぜひ。

 
 この大野流向かい飛車、ゴキゲン中飛車の手順と酷似していますが、ゴキゲン中飛車の場合▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2二角成△同 銀▲5三角△4二角!と馬作りを拒否できるんですね。(2六に成れない)

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