『光速の寄せ振り飛車編』(谷川浩司,2010)―囲い崩しの名著

概要

 戦型別終盤の手筋を解説した『光速の寄せ振り飛車破りの巻』『光速の寄せ振り飛車で勝て!』をまとめて文庫化したもの。対抗形での振り飛車居飛車の囲いの崩し方をパターン化して記している。

言わずと知れた名著

 第一章、基礎知識編。それぞれの囲いの特性を解説している。この部分は一回読むぐらいでよい。
 
 第二章、光速の手筋編。この部分が本書の肝と言ってもよいと思う。居飛車振り飛車の囲いに関して60問ずつ計120問。初段やそれ以上を目指す方は全てひと目で解けるようにならないと対抗形ではお話にならない。居飛車vs振り飛車の終盤はこの本に載っている手筋をすべて知っていることを前提に進められる。

 第三章、光速の即詰み編。手筋編は超基本手筋だったが即詰み編は難易度がグッと上がる。が、実戦的な王手のかけ方を学ぶにはとても良い教材。解けなければ答えを見てもよいから、詰み筋をひと通り頭に叩き込んでおきたい。

 第四章、実践編。これまでの手筋が実戦でどのように応用されるのかを解説している。谷川の終盤なので単純に面白く、また棋風的にわかりやすい。(決めてがあれば逃さない)

 第二章の完成度のため他の章が霞んで見えるが、総合的によくまとまった名著。対抗形終盤の1冊目は今でもこの本でいけると思う。