【感想】人間失格(太宰治,1952)
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1990/11/20
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又吉の『第二図書係補佐』を読んだそのつながりで読了。人間失格な人間の一生を描いたお話。
主人公は「人間の生活といったものがわからない」と吐露する。他人は何を幸福とし不幸とし生きているのだろう。自分だけが全くズレて変わった人間なのではないかという恐怖に晒される。
んーしかし、人間そのような考え方は(大小あれど)持って暮らしているんじゃないかな。他人や世間のことを「分かっている」人間なんて居なくて、その事実を受け入れるか、もしくは全く気にせずに暮らしている人間が大半だと思う。
主人公は唯一の生存戦略として道化になって生きることを選ぶ。本当のことを全く言わなくなった。道化は主人公の唯一の生存方法であったが、同時にそれが要所で悪さをして自身を苦しめていくことになる。
この主人公が人間失格してしまったのは単に運が悪かったのが原因なんじゃないかな。道化のまま人間世界をまま幸福に生き抜いて行ける平行世界もあったんだろうと思えてならない。
人間失格も人間合格も紙一重なのだと私は思う。