『とっておきの穴熊退治』(2015,佐藤秀司)―森下愛の一冊
- 作者: 佐藤秀司
- 出版社/メーカー: マイナビ
- 発売日: 2015/04/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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概要
「本書は佐藤秀司七段渾身の「銀冠による振り穴破り」の戦術書です。」―(マイナビ紹介文より)
目次
四間飛車穴熊 戦型分類
第1章 最強の敵 四間飛車△4四銀型
第2章 四間飛車 腰掛け銀型
第3章 四間飛車 石田流型
第4章 5筋位取り中飛車
第5章 次の一手
第6章 自戦記編(3局)
自戦解説(10局分)
コラム5つ
「森下~っ」
第1章 最強の敵 四間飛車△4四銀型
本書の屋台骨である章。
第一節 △4五歩~△4四銀
角道を止めない居飛車に対して振り穴が△6五歩と位を取り、それに居飛車が反発する形を解説している。
図から△4五歩~△4四銀と、△6二飛と回る形の二つを解説している。6六の銀が好形なので、私見だが居飛車側五分には戦えている印象を受ける。が、実戦的には難しそうな局面も多い。
第二節 △4四銀型VS速攻
△7四歩に代えて△5四歩というマイナーな局面を解説している。にもかかわらず銀冠がそんなに良くならない。参考として読んでおいてもいいが、実戦で出くわすことはあまりなさそうだ。
類似形である参考図は本書では触れられておらず、四間飛車穴熊の急所 (最強将棋21)に詳しく載っている。
第三節 銀冠穴熊・第四節 銀冠側後手の場合
居飛車が銀冠穴熊に組む変化を解説しているが、全体的に四間飛車穴熊の急所〈2〉相穴熊編 (最強将棋21)の方が詳しい。△7四金型も解説しているが振り穴党としては指す気にならない手。
第二章 四間飛車 腰掛け銀型
早めの△5四銀は広瀬も推奨する形で、最近は本章の形になる可能性のほうが高いのかもしれない。
第一節 ▲8六角型
図から△6二飛と△7三銀を解説している。△7三銀型は広瀬本には載っていない。
第二節 速攻型
▲3六歩を突いて△4五歩を強制する形。4ページのみ。
第三章 四間飛車 石田流型
四間飛車が石田流に組み直す形を解説している。見慣れない作戦なので対策が必要。有力だが▲6五歩-▲8五歩と位を取れるので居飛車に不満は無さそう。
第一節 △5三角型
第二節 △1三角型
第四章 5筋位取り中飛車
第一節は囲い合い型、第二節では超速型を解説している。どちらも居飛穴に組む形はよく目にする。
第五章 次の一手
1~4章で解説した定跡の振り返り。正直このレベルの棋書に必要なのかどうか疑問。
総評
全体的に突っ込みが足りない部分や突っ込み過ぎの部分が目立つが、銀冠党と四間穴熊党は持っておいて損はないと思う。劇的に良くなる変化は少ないので、穴熊でいいという人は買う必要が無いだろう。
コラムには森下愛が溢れている。